2014年7月31日木曜日

【映画備忘録】 韓国映画 「怪しい彼女」


「鈍感さに僅かな繊細さが加わると、幸せが舞い降りてくる」 ということ。



2014年に公開された韓国映画で、「古典的」「純粋」「凶暴」の三拍子揃った、意外にも感動作品。

口悪い婆ちゃんが、突然20歳の自分に戻り、家族や仲間を翻弄しつつも、絆を深めていく。

信じられないトラブル、出来事が、家族、仲間それぞれが気づくべきことを気づかせてくれる、一歩立ち止まって今の周りの環境を俯瞰で眺めさせてくれる、そんな作品。


女優は垢抜けなさがお婆ちゃんキャラにハマっている「シム・ウギョン」。
 一見、イモトにも見えるその容姿とは裏腹に、歌唱力が素晴らしい。他になかなか居ない特徴ある女優。



















公式サイト:http://ayakano-movie.com/

俳優は日本であまりヒット作がないが、爽やかイケメンで、どこかまた素朴さが残る「イ・ジヌク」。
日本のマダムがほっておかないのは、言うまでもない。
ドラマ「エアシティ」では、共演がきっかけでチェ・ジウと交際に発展していたようだ。




監督は、あの社会に衝撃を与えた原作「トガニ」を映画化した「ファン・ドンヒョク」。
聴覚障害を持つ子どもたちに暴行や性的虐待を行い、それを隠ぺいしようとした教育者たちの本性を暴き出した、実話を元にした作品。

トガニについて:http://dogani.jp/




今回の作品には、そんなシリアスな場面はないが、この監督らしさが垣間見れる場面がある。

お婆ちゃんが女でひとつで息子を育ててきた回想シーン。目の中に入れても痛くない自慢の息子。
息子も国立大学の教授まで上り詰めた。


この作品は、最初は笑いに笑って、最後は涙を流すしかない、そんな作品であるが、リズミカルで、昔の綺麗な心を思い出させてくれるヒントも織り込まれている、爽快感が残り香となる素敵な作品。


鈍感で不器用なお婆ちゃんが、20歳に突然戻ったとき、何かが変わってくる。

自分を振り返り、傷つけた人を労り、ほんの僅かな繊細さが芽生えたとき、幸せが舞い降りてくる。

このストーリーは韓国特有の歴史・文化・慣習背景があるからこそ映える、そうつくづく思う。

日本人には作れない作品だ。