「人種差別と生活格差が生む、高粘度な負のしがらみ。正の行動を引き起こすには悲しい出来事がなくてはならないのか」ということ。
出所したばかりの22歳の黒人青年が、2009年1月1日の年越しに、警察官に銃で撃たれて死亡した事件を基に映画化。
映画祭や賞レースを席巻したドラマである。
監督は、本作で長編映画 デビューを飾ったライアン・クーグラー。主人公の黒人青年を『クロニクル』などのマイケル・B・ジョーダンが演じ、オスカー受賞者のオクタヴィア・スペン サーが共演。
新年を迎えようという12 月31日、家族や友人といつもの日常を過ごす青年の姿を描き、突然この世から去った彼の運命の残酷さやはかなさを浮き上がらせる。
事件の痛ましさや、残された者の憤りと悲しさが胸に突き刺さる。
人種差別、生活環境は、誰しも選べずに生誕するもの。
資本主義社会のアメリカでは、この問題は歴史的に根深く、自由な思想や哲学、概念を受け入れる半面、適切に制御できていないのが現状だ。
生まれた環境により、様々な機会が制限され、隔離され、輝かしい夢を抱くこともできず、次世代になっても抜け出しきれない無限ループに陥る。
平等とは程遠い世界だ。
是非ともこの映画を見て、自分に置き換えて考えてほしい。
悪しき環境を憎む心と表裏一体の純粋な心。
素晴らしい映画だ。
★公式ホームページ
http://fruitvale-movie.com/
★予告編